経机の裏

お寺には、お勤めの際に使用する様々な仏具(ぶつぐ)があります
その仏具には、毎日使うものもあれば、年一回の報恩講にだけ使用する仏具もあります
また、ぱっと見では同じような仏具に見えても、用途が異なるものもあります
例えば・・・


「経卓(きょうじょく)」(一枚目)と「巡讃卓(じゅんさんじょく)」(二枚目)があります
※経卓は、一般的には「経机(きょうづくえ)」とも呼ばれます
経卓(経机)はご門徒の家のお内仏の前にもありますが、巡讃卓は複数の僧侶が内陣に出仕する場合の法要でしか使用しません
そして、ぱっと見では同じような仏具に見えても・・・用途も同じものもあります
そういうものは、使用するものだけ出して、それ以外のものは人知れず埃を被っていくのが世の常です
上の写真の経机はまさにそれで、埃どころかカビや緑青(サビ)が浮く状態でした
※上の経机は掃除後の写真です
依然として使用する機会はありませんが、見るに見かねて掃除をしていたところ・・・

裏に何やら記載がありました
おそらく、今から約60年前に京都の本願寺で厳修された親鸞聖人の700回御遠忌に、当寺より参拝された方々がその記念として、当寺に永代経懇志として寄贈されたものと思われます
お名前を拝見すると、お世話になった今は亡きご門徒のお名前も見受けられました
今となっては京都にはとんぼ返りで行ける時代ですが、当時は汽車や船を使い多くの時間と労力をかけて参拝されたようです
その車内では多くの法談が開かれ、御遠忌中の本願寺は境内から溢れかえる人混みと熱量だったと聞き及びます
そのような感動が時を超えて、かたちとなって現前しているのでしょう
「聞法の場と機会の相続」という永代経の願いの一つのすがたがここにありました

